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過去も未来も無い、意識すべきはただこの現在の瞬間のみ
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◆最近観た映画


The Getaway (ゲッタウェイ)

1972年


スティーヴ・マックィーン、アリ・マッグロー主演。
かなり前に一度見たんですが大部分忘却していたとはいえ所々印象に残っていた作品。
バイオレンス映画の巨匠、サム・ペキンパーの代表作の一つとして挙げられる作品だが.....  何だろう。
「ワイルドバンチ」「わらの犬」「ガルシアの首」等と比較するとあまりペキンパーの作品っていうイメージが沸かない。
ペキンパーの作品はどれも兎に角主人公のキャラが立っていて(粗野でハードボイルド)「格好いい」のだがこの作品のドク・マッコイは完全に「マックィーン」のイメージのまんまなのだが。
おまけに強過ぎ、敵役のギャング弱過ぎ。ラストのホテルでの銃撃戦シーンは失笑。完全に「大胆不敵で無敵」のマックィーンの俺様映画である。
事実マックィーンは脚本と音楽担当に難癖を付け、前者を原作者ジム・トンプソンからウォルター・ヒルに、後者をジェリー・フィールディングからクインシー・ジョーンズに交代させている。
以上のような事例からこの作品の主導権は実際マックィーンに握られており、ペキンパー自身は半ば雇われ監督に徹していたのかもしれない。
いや、まあマックィーンのドクは勿論格好良い事には変わりないんですが。今のハリウッドにはマックィーンみたいな骨太・硬派で華のある男優ってほんといないですね。
ジョニー・デップみたいなリアルのキャラが薄めで草食系な俳優がもてはやされている現状を考えれば「時代感覚の差」ってやつを感じてしまわないこともないが。



ちなみにマックィーンとマッグローは今作で競演後、結婚しているんですが彼女の何処がそこまで魅力的だったのか謎.....
スターオーラが無いというか、劇中でも存在感が薄く、主人公の妻という設定であるのにまったく共感できないキャラだった。
寧ろ裏切り者ルディを演じたアル・レッティエリの変人イカレ具合の方が余程印象に残る。(おまけに態度の割にやたらと情けなく弱い彼)


刑務所に収監されている囚人・マッコイはギャングの首領・ベニオンと妻キャロルを通して裏取引をし、銀行強盗を請け負うことを条件に釈放される。
妻、そしてベニオン側が用意した二人の助っ人と共に強盗作戦は実行されるが......
裏切りに次ぐ裏切りの連続により事件は誰も予想しなかったであろう成り行きに。
状況の不利を察したマッコイは強盗で奪った金を抱え妻と共に逃走。裏切り者である助っ人ルディ、警察、そしてベニオンの弟に率いられたギャング達から追跡されることになる。
と、  まあいかにもな70年代調のクライムアクション。
前述のように「マックィーンの映画」な印象も濃いですが娯楽作品として十分に及第点、ハラハラする展開の連続に飽きることなく最期まで魅入る。このB級なテイストもこの時代ならではで僕は凄く好きです。
スローモーション、ストップモーションなどの技巧に定評のあるペキンパーですがこの作品でも冒頭のクレジットの回想部分からゾクゾクさせられる。(こんなにシンプルでそっけないのになんて格好いい映像なんだろう....)
ペキンパーも「戦争のはらわた」の頃になるとスローモーションも意味も無くやり過ぎな感じがしてセンスの鈍化を感じてしまったが....  まあそれは別の話。
ちなみに本国アメリカでは現在でもそれ程人気のある監督とは言えない方ですが(生前はハリウッドに敵意剥き出しの姿勢だった)日本やヨーロッパの映画ファンからは根強い人気を持つ監督です。
それにウォルター・ヒルにクインシーという人選も個人的に悪くないと思う。
ウォルター・ヒルはこのゲッタウェイでのハードな脚本で一躍脚光を浴び、以降バイオレンス系映画の監督・脚本家として名を馳せていきます。
もっとも「48時間」みたいな面白い良作があるかと思えば「ウォリアーズ」みたいな意味わかんないB級品があったり、近年は理解不能な映画をプロデュースしていたりとかなり「マニア向け」なキャリアを持つ彼ですが。(まあ各々の映画の愛し方というか好みの問題)
クインシー・ジョーンズは言わずもがな、ジャズ・R&B・ソウルといったブラックミュージック全般に留まらずアメリカのPOPミュージック界の歴史において絶大な影響力を持ってきた大プロデューサー。
今作でもハードで男臭い雰囲気に合った、黒くて非常に格好良いスコアを提供しています。スーパーフライ(カーティス・メイフィールド)といいシャフト(アイザック・ヘイズ)といい、70年代のクライムアクション、ギャング映画は本当に格好良い音楽が多い。

ところで余談になりますが

クインシーの長大なキャリアの中で最も巨大な成功を収めた仕事といえば言うまでも無く、マイケル・ジャクソンのソロ・プロデュースである。




「Off The Wall」 1979年


マネージャーであった父親から独立後の彼のソロ第一作であり、マイケルとクインシーのコンビ初作。
同時に真の意味で「黒かった」彼の最後の作品かもしれない。
彼のソロ作は枚数を重ねるごとに音楽性も自身の肌のように「白く」なっていく.....
事実ソウル・ミュージックのガイド本でも紹介される彼の作品は「Off The Wall」までの事が多いしピーター・バラカン氏も自身の著作の中でこの作品以降の彼は音楽的に下降路線を辿ったと発言している。
それは少し言い過ぎじゃないかな... と思ったりしますが確かに僕個人としても彼のソロ作で一番好きなアルバムと言えばやはり即答で「Off The Wall」という事になる。
純粋に「お洒落で格好いい」から。全編に漂うこの熱くなり過ぎないクールでメロウな感じだよ..... ディスコ期以降のファンクサウンドの一つの完成系と言っても過言で無いと思います。
確かに「Beat It」「Thriller」「Billie Jean」「Smooth Criminal」「Bad」のような誰もが聞いたことがある曲は入っていないし後のキャリアを考えると地味な作品かもしれないがアルバムとしての統一感は断トツ、去年以降、マイケルに興味を持った人にベストの他に薦めるアルバムがあるとすれば迷うことなくこれです。
マイケルが大成した経緯にはその音楽センス、エンターテイナーとしての資質、圧倒的なパフォーマンス力・カリスマ性、革命とも呼ばれた大掛かりなPV製作に代表されるようなMTVの台頭という時代の歯車とマッチしたそのプロモーション姿勢、他ジャンルのミュージシャンとの大胆な競演・クロスオーヴァー等様々な要素が挙げられますが巨大なプロモーション無しに純粋に「音楽」として最も成功したのはこの作品ではないだろうか。
次作、「Thriller」があまりに化け物染みた成功を収めたせいで忘れられがちだがこの作品の発表時のセールスも相当なものだったのである。

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