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過去も未来も無い、意識すべきはただこの現在の瞬間のみ
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漸く春が来るかと思えば相変わらず寒さが続く夜、悪天候。

こんばんは


此処の観覧者の人の何人かはあそこのユーザーだと思うけども......
やんごとなき理由(?)で突如日記を削除してしまいましたが53490にて再登録。(ほんと何度目だろう....)
取り敢えずは.....  様子見ですか。




◆最近観た映画


The Mosquito Coast(モスキート・コースト)

1986年


随分と昔にBSか何かの夜の映画劇場で一度見て結構印象に残っていたので是非もう一度観たいと思っていた作品。
主演はハリソン・フォード。監督であるピーター・ウィアーとは「刑事ジョン・ブック」に続くコンビ作。
また、人気・実力を兼ね揃え、当時若手の中で最も将来を期待ながらも後に不幸な最期を迎えたリバー・フェニックスがフォードの息子役として出演しています。
この作品の肝は彼ですね。母や兄弟達と暴走する父との狭間で揺れ動き、苦悩する息子を見事に演じきっています。




原作は未読なんですが東西冷戦の尾を引いていた時代の産物である、ということはよく伝わる。

文明化された現代の資本主義帝国・アメリカを憎み、家族を連れて中南米奥地の未開のジャングルに理想郷としてのコロニーを作ろうとした発明家の男。
あまりに未開の土地、妻や子供達の反発等当初は様々な困難が付き纏ったが次第にジャングルでの開墾生活は軌道に乗り始め、ついには念願であった自身の発明品・巨大製氷機を作ることに成功する。
しかしとある事件を契機に次第に歯車は狂い始め、順調に見えた生活は突如破局を迎える。
そして家族を巻き込み、さらに暴走を続ける父親。

資本主義でも共産主義でもない、(しかしそのどちらの要素からも完璧には独立できなかった)彼が夢見、作り上げようとした小国寡民な個人主義の王国。
そして文明の恩恵である「氷」を持ち込んだが故に結果としてそれは自分達が作り上げた環境を破壊することになるという皮肉。
現代文明を否定した彼であったが結局は自身も根本的にそのレールから外れることは出来ず、自らの一方的なダブルスタンダードに盲目であった事が彼の悲劇ではないだろうか。
無力な個々の集合である理不尽な現代国家、更にはその構成員たる個人の無力に対する個々の自覚を盲目化する宗教・神の存在を否定し、絶対的な個人主義への過信に走ったが故にそれが自然に対する人間の力の愚かな驕りを生んだ。
この作品では「神になろうとした男」、そしてその家族の末路を淡々と描いていく。
シリアスな作品として観るには所々ぬるい箇所も無くは無いですが現代文明に対する警句を含む作品としては十分に存在感がある良作です。

ところで「神になろうとした男」というのは僕の解釈ですが「俺についてくるのか、否か?」という個人主義的テーマ、ジャングルの川という背景から(根本はやはり異質であるとは思うんですが)この作品も同時に連想してしまいます。





AGUIRRE.Der Zone Gottes(アギーレ・神の怒り)

1972年


ヴェルナー・ヘルツォークの代表作にして70年代ニュー・ジャーマン・シネマの金字塔的作品。著者の大好きな作品です。
コッポラの「地獄の黙示録」にインスピレーションを与えた作品としても著名。
この頃のドイツ映画出身監督だと「パリ・テキサス」や「ベルリン天使の詩」等で知られるヴィム・ヴェンダース等は日本でも非常に高い人気がありますがヘルツォークの作品というとそこまで広くは観られていないのではないだろうか。
ちなみにパリ・テキサスに出演していたナスターシャ・キンスキーは本作の主演である怪優、クラウス・キンスキーの娘です。


16世紀、ピサロ率いるスペイン人によりインカ帝国が滅ぼされた後の南米。
先住民の幻の黄金郷、エル・ドラド征服を目指しアマゾン奥地の川を筏で下る遠征隊。
川の氾濫、度重なる原住民の襲撃により煽られる不安、低下していく士気。
仲間を次々と失っていく中で副官アギーレは狂気の淵へと落ちていく。

この作品で特筆すべきはやはりなんと言ってもその圧倒的な重量感・美しさに満ち溢れた映像。
ポポル・ヴーの神秘的で恐ろしさすら感じさせる音楽、そして鳥獣類の泣き声・大自然の営みから発せられる音。一瞬の静寂。
それらが疲労・不安・悲哀・狂気を表した登場人物たちの「表情」のロングショットをバックに静かに流れていく。
兎に角「間」が絶妙な作品です。

茶番劇同然の戴冠式・裁判。裏切り・殺し合い、募る猜疑心。そして欲望が生み出す恐ろしい人間の狂気。
何処までも美しい大自然の中でそれと対比されるかのように淡々と繰り広げられる愚かで醜い「文明社会」のショー。


立ち位置、作品のカラーはまるで違えど自然を前にした『小さな存在に過ぎぬ人間の欺瞞・驕り』というテーマはどちらの作品にも強く感じられます。

それにしてもラストはいつ観ても気味が悪い.....
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