過去も未来も無い、意識すべきはただこの現在の瞬間のみ
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Quo vadis, Domine? <クォ・ヴァディス・ドミネ?>
(主よ、何処へ?)
ペテロ

最近読んだ本◆
クォ・ヴァディス (クオ・ワディス)
ポーランドの作家、シェンキェーヴィチの長編歴史小説。1896年刊。
シェンキェーヴィチはナショナリズムを鼓舞する立場から故国ポーランドの人物・事件に関する歴史小説をいくつか残していますがやはり世界的に最もよく知られ、各国語に翻訳されている作品と言えばこの「クォ・ヴァディス」な訳です。
僕は未見ですが50年代にハリウッドで大作史劇として映画化されており、「十戒」や「ベン・ハー」といった誰もが知っている戦後スペクタクル史劇の先駆け的存在として観られている模様。
帝政ローマ、暴君ネロの時代を背景にローマの若き軍団将校・ウィニキウスとキリスト教徒として育てられた北方蛮族の王女・リギアの恋をネロやペトロニウス、使徒ペテロ・パウロ等の実在の人物達や悪徳の哲学者キロン、リギアの怪力の従者ウルススのような架空の人物を絡めて展開していく物語。
生粋のローマ軍人であるウィニキウスとアウルス家の養女であり新興の異教徒であるリギア。二人の関係を通して伝統的なヘレニズム精神とヘブライズム(此処では即ちキリスト教精神)の拮抗・摩擦、そしてその中から次第にイエスの教えに心を開いていくウィニキウスの姿を描いた前半。
ローマの炎上、そしてやがて始まるキリスト教徒への大迫害により登場人物たちの運命が流転していく後半。
長編でありながらサスペンスフルでスピーディーな展開は最後まで一時も飽きさせない。
決してお堅い文学作品ではない、魅力的な登場人物達に飾られた純粋な「物語」としての面白みに溢れた作品。
それでいて古代ローマの細かな風俗考証もまったく手抜きがない。
シェンキェーヴィチは列強諸国に蹂躙された当時の故国ポーランド・同胞達を「迫害されるキリスト教徒」の姿と重ね合わせてこのクォ・ヴァディスを書いたと言われています。
この作品に対する典型的評価。
狂気の都ローマにおけるキリストが教える「愛と真理」の勝利という一見なんとも臭いテーマだが.........
もっと普遍的なものというべきか、心に迷いを持った人間達が精神の拠り所としての真理を見出し、感情に変化を来たして行く様を超現実的な奇跡等を通してでは無く、あくまで自然に描いていく。
押し付けがましい宗教臭さは個人的には思った程感じなかった。
(しかしネロの 「暴君の中の暴君」 「俗物の支配者」 的描き方は明らかに露骨なキリスト教徒の視点だな.....とは思いますが)
そしてそれ故に、キリストの真理の前に「排他されるべきもの」とはまた別の見地で捉えられたヘレニズム的な美学・価値観の具象とも言うべき描き方をされたペトロニウスのポジションが本作の中でもまた異色な風合いを醸している。
時として本作の真の主人公は彼ではないかと思う程に。
(主よ、何処へ?)
ペテロ
最近読んだ本◆
クォ・ヴァディス (クオ・ワディス)
ポーランドの作家、シェンキェーヴィチの長編歴史小説。1896年刊。
シェンキェーヴィチはナショナリズムを鼓舞する立場から故国ポーランドの人物・事件に関する歴史小説をいくつか残していますがやはり世界的に最もよく知られ、各国語に翻訳されている作品と言えばこの「クォ・ヴァディス」な訳です。
僕は未見ですが50年代にハリウッドで大作史劇として映画化されており、「十戒」や「ベン・ハー」といった誰もが知っている戦後スペクタクル史劇の先駆け的存在として観られている模様。
帝政ローマ、暴君ネロの時代を背景にローマの若き軍団将校・ウィニキウスとキリスト教徒として育てられた北方蛮族の王女・リギアの恋をネロやペトロニウス、使徒ペテロ・パウロ等の実在の人物達や悪徳の哲学者キロン、リギアの怪力の従者ウルススのような架空の人物を絡めて展開していく物語。
生粋のローマ軍人であるウィニキウスとアウルス家の養女であり新興の異教徒であるリギア。二人の関係を通して伝統的なヘレニズム精神とヘブライズム(此処では即ちキリスト教精神)の拮抗・摩擦、そしてその中から次第にイエスの教えに心を開いていくウィニキウスの姿を描いた前半。
ローマの炎上、そしてやがて始まるキリスト教徒への大迫害により登場人物たちの運命が流転していく後半。
長編でありながらサスペンスフルでスピーディーな展開は最後まで一時も飽きさせない。
決してお堅い文学作品ではない、魅力的な登場人物達に飾られた純粋な「物語」としての面白みに溢れた作品。
それでいて古代ローマの細かな風俗考証もまったく手抜きがない。
シェンキェーヴィチは列強諸国に蹂躙された当時の故国ポーランド・同胞達を「迫害されるキリスト教徒」の姿と重ね合わせてこのクォ・ヴァディスを書いたと言われています。
この作品に対する典型的評価。
狂気の都ローマにおけるキリストが教える「愛と真理」の勝利という一見なんとも臭いテーマだが.........
もっと普遍的なものというべきか、心に迷いを持った人間達が精神の拠り所としての真理を見出し、感情に変化を来たして行く様を超現実的な奇跡等を通してでは無く、あくまで自然に描いていく。
押し付けがましい宗教臭さは個人的には思った程感じなかった。
(しかしネロの 「暴君の中の暴君」 「俗物の支配者」 的描き方は明らかに露骨なキリスト教徒の視点だな.....とは思いますが)
そしてそれ故に、キリストの真理の前に「排他されるべきもの」とはまた別の見地で捉えられたヘレニズム的な美学・価値観の具象とも言うべき描き方をされたペトロニウスのポジションが本作の中でもまた異色な風合いを醸している。
時として本作の真の主人公は彼ではないかと思う程に。
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性別:
男性
誕生日:
1985/04/03
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