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過去も未来も無い、意識すべきはただこの現在の瞬間のみ
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フォルカー・シュレンドルフの「ブリキの太鼓」のレビューを以前のブログで一度書いたことがあるがやはりあの映画で一番印象に残っているシーンは熱心なナチ信者であったオスカルの父親が侵攻してきたソ連兵を前に「ナチと無縁な善良なドイツ市民」にころりと転身するシーン。
隠そうとしたナチ党のバッジが彼の命を奪うことになるのではあるが現代ドイツの矛盾した姿の一側面を鋭く切り取ったシーンとして自分の中では映っている。
ドイツ出身のローマ法王、ベネディクト16世の処置がドイツ国内で大問題になっていますが改めて見てもあの国の左翼的言論封殺傾向は異常。
日本と比べて極めて「合理的」に戦後処理を済ませたドイツ。「悪はナチ。我々も被害者。ホロコースト認めます、金出します」
勿論日本も同じ敗戦国としてドイツの戦時問題に対する論調を他人事のように眺めているわけにはいかない。
何が「悪」で「責任」は何処に存在するのか、何が「償い」となるのか。単純そうにみえて難しい問題ではある。

こんばんは

くどいようだが焼き菓子が好きな著者|ω・`)
イングリッシュ・アフタヌーン・ティーの基本だがティーには焼き菓子の方が好ましい。


liveevilmilesdavis.jpg

◆本日聴いた音楽

Miles Davis  「Live Evil」


言わずもがなジャズの帝王、マイルス・デイビス。
60年代後期、エレキギターを初めとした電気楽器を大々的に導入し保守的なジャズを放棄、「クロスオーヴァー」の新たな道を切り開いたことはマイルスの長いキャリアの中でも最も大きく、革新的な出来事だった。
マイルスの音楽的創造性がピークにあったのはその真っ只中、60年代後期~70年代中期だった訳です。
ジミ・ヘンドリックスやスライの音楽性に影響されて「ファンク」を独自の解釈で追求、「In A Silent Way」 「Bitches Brew」を日切りにマイルスの怒涛の快進撃がはじまる。
ブレーンであるマイルスはアイディアの赴くままにその時その時の要求に応じて目まぐるしくバンドメンバーを変遷させて次々とライブ、セッションのレコーディングを繰り返し、マイルスの右腕である天才プロデューサー、テオ・マセロがそれらレコーディング音源を『作品』として昇華させていく。
この時期のマイルスの音楽性の濃さは尋常じゃないです。電化期のマイルスはよくプログレに近いものとして見られる傾向がありますが同じにしないでいただきたい。
ロックでもジャズでもない、類似的な音楽はまったく見つからない。
ちなみに余談ではあるがマイルス・マニアの中にはこの時期のマイルスの音楽性が受け入れられないやつは「マイルスを聴く資格無し」等とよく言ったりもするんですがそれもどうかな。
一般的にいってこの時期のマイルスの音楽性ははっきり言って敷居が高い。聴く側にもそれなりの感性や集中力が要求される。
無理して聴くことはないしアコースティック・ジャズ時代のマイルスが好きなのであればCookinやKind of Blue、Milestonesを聴いていればいい、それだけの話じゃないでしょうか。
唯一つ言えるのは「一回聴いて受け付けられなかったから」それはおろか「まったくの聴かず嫌い」で電化マイルスを無視するのは一生の損だ。間違いない。

さて.......  戯言が長くなってしまったけどもそんなジャズという枠組みから開放されたマイルス絶頂期にリリースされたこのアルバム。
ジャケットはユニークというか何というか.....  少々グロいんですが(表はマシな方。裏が変)音の方は鬼の様に格好いい。
1970年にレコーディングされたスタジオ音源と同年にワシントンDCのクラブ、「セラー・ドア」でのライブ音源の一部を二枚組みに纏めたもの。
1、4、7、8曲目がライブで残りがスタジオ録音。
こういう言い方をしてしまうと編集盤みたいに思えてしまうかもしれないですがとんでもない、一つのアルバムを通して非常にコンセプチュアルな流れに纏められている。
通して聴いてもチグハグな印象がない、テオ・マセロの手腕。ラストの締めのナレーションが入るところまでバシッときまっている。

聴き所は何といってもライブ音源です。物凄いです。

ライブサイドのパーソネル

Miles Davis (tp)
Keith Jarrett  (elp org)
Gary Bartz (as ss)
John Mclaughlin (elg)
Airto Moreira (per)
Michael Henderson (elb)
Jack Dejohnette (ds)


ハイライトは4と8。

重戦車のようにファンキーグルーヴでガリガリ前面に出るリズム隊(4でのヘンダーソンのベースラインのかっこよさがたまらない)、ここぞとばかりに必殺のフレーズで切り込んでくるマイルス。
マクラフリンのギター、アイアートのパーカッションもとにかく暴れる。
そして何よりもキースのエレピのアグレッシブな暴れっぷり。「ちんたら聴いてるとブッ殺すぞ」ってノリです。
フィルモア・ライブでもチック・コリア相手にツイン・キーボードで壮絶なバトルを繰り広げた彼ですがマイルス・バンドでのキースのプレイはソロ名義の「ケルン・コンサート」や「ステアケイス」での、或いは現在のピアニスト「キース・ジャレット」としての姿とはとても同一人物とは思えない。
特筆したいのはサックスのゲイリー・バーツ。コルトレーンともショーターとも違う、素晴らしいプレイを繰り広げます。
激しくも繊細・スピリチュアルと言うか、特に8での圧巻のソロに唖然。(ほんとどう吹いているんだろうかこれ?)



さて、ゲイリー・バーツというと自身のリーダー作名義ではまったく売れなかったサックス奏者です。
正確には現在に至っても彼のリーダー作はジャズ方面からの評価は高いとは言えない。

しかしそんな長い不遇の時期を過ごした彼の作品に対する評価も80年代中期以降のレア・グルーヴ・ムーブメントにより一変することになる。
「レア・グルーヴ」とは広義に言えばその名の通りレアな音楽。
特に60~70年代にリリースされたソウル、ジャズ、ファンク、フュージョンのマイナーなインディー盤、或いは当時売れなかった為に少数しかレコードがプレスされなかったもの。つまり原盤はレアな訳です。
そういった埋もれていく運命にあった過去の誰も知らない音楽がクラブミュージックの発展と共に再評価されるようになり、地上に芽を出す。
DJは「レコードハンター」とも言われますが彼等は中古レコードの山の中からそれら知られざるレア・グルーヴ・レコードの佳作を『発掘』。
著名DJによりフロアでプレイされたレア・グルーヴ盤はクラバー達の間で爆発的に再評価されました。
マイルスの音楽性の影響を受けながらもメロウで親しみやすく、かつファンキーで歌ものなゲイリー・バーツの作品はフロア仕様の音楽としても優れており、アシッドジャズ・ムーブメントとも歩調を合わせクラブ方面で非常に高い再評価を受ける。
今ではレア・グルーヴに括られる中でも著名なミュージシャン、ジャズ方面では見向きもされなかったが後になってクラブ世代のクラシックになったという正に遅すぎる成功。


また、ヒップホップを初めとするバックトラックのサンプリング・ソースとして使われたレコードの多くもレア・グルーヴとして再評価された。(サンプリング・ルネッサンス)

そこで挙げたいのがゲイリー・バーツのこのアルバム、「The Shadow Do」

garybartz.jpg

そこのB-boy   知らんとは言わせんぞ。
「Gentle Smiles」はイーストコーストの雄・A Tribe Called QuestやBeatnuts、更にはMitsu The Beatsまでがサンプリングネタとして使っていることであまりに有名です。

勿論元のアルバム自体もムーディーでいい音楽。


◆追記

電化マイルスは敷居が高いなどと言い切ってしまいましたが

特に硬質なロックが好きな人へ。
畳み掛ける濃密な轟音、ヘヴィーかつスピーディーなリズムに至上のエクスタシーを感じる人。
「Dark Magus」を強烈にお勧めします。

『異常』です。
僕はこれに比類しうるようなヘヴィーで凶暴な音楽を他に知らない。

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